Introduction 2

 前記のような時代背景ということもあり、そのため当然のように剖検数は多く、私が在籍していた病理学教室でも年間350例~400例以上の剖検があり、教室員は正に剖検漬けといった言葉がピッタリくるような毎日だったように思います。

 まだ駆け出しの一年目の頃、毎日出会う患者様が当たり前ですがすでに亡くなられた方ばかりで、普通に生きて居られる方を見ると、何かとても幸運な方のように見えるような心理状態に陥ったことを思い出します。(苦笑!) 

 しかし、そんな過酷ともいえるような毎日を過ごせたことが、後に鍼灸療法などという手法を用いる臨床の場で生きることになる私にとって、何物にも代えられない経験という財産になる貴重な時間だったのですが、残念ながらその当時は知る由もなく、目の前のノルマを消化することに苦闘する毎日だったように思います。                        

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