難治性疼痛とは?主な症状や原因と対処法について詳しく知ろう

「疼痛」とは医学用語で痛みのことを指します。現在わが国において、慢性的な疼痛に苦しむ患者は、少々古いデータですが、2010年の調査による推計報告で2,315万人です。その中には、痛みの原因がよく分からず、対処が難しいケースも多くあると言われています。

今回は、「難治性疼痛」の主な症状や、原因と対処法について解説していきます。

難治性疼痛とは?

疼痛の中でも、原因不明の慢性疼痛や、原因は分かっているものの既存の治療方法では痛みの治癒ができない慢性疼痛を、「難治性疼痛」と言います。なお、慢性疼痛は「慢性疼痛診療ガイドライン」の中で、通常の治療に要する期間を超えて、痛みが3ヶ月以上持続するものという定義です。

一方、慢性疼痛に対して急性疼痛があります。急性疼痛は、ケガや病気などが原因の痛みで、その原因が治癒すれば痛みの改善に期待できる点が違いとなります。

難治性疼痛の代表的なものとして神経障害性疼痛があり、これは、中枢神経や末梢神経が、圧迫や障害を受けて痛みが起きるものです。主に糖尿病などの慢性疾患に伴う痛みや、癌・椎間板ヘルニア・脳卒中などが原因となる痛みがあり、痛み止め薬の効果が期待できないものです。

慢性疼痛の主な症状

慢性疼痛は、原因が分かりにくく、痛みが出たり出なかったり、どこが痛いのか分からないようなケースもあります。その痛みも、広範囲ではっきりしないものや、鈍い痛み・しびれるような痛みなど、さまざまです。そして、長期間に渡り長引くことが特徴です。そのため、日常生活に支障をきたし、睡眠障害や食欲不振などを随伴することもあります。

また、持続的な痛みにより、抑うつ・不安・破局的思考などの精神症状を引き起こす可能性もあります。このように慢性疼痛は、病期が長くなるにつれて、心理的及び社会的障害が重くなってしまう場合もあるのです。

慢性疼痛の主な原因

上述の通り、難治性疼痛は原因の分からないものが多くあります。慢性疼痛の主な要因としては、以下の3つが考えられます。

● 体の組織の損傷に起因するもの(病気や外傷による損傷)
● 痛みを伴う病気(癌・リウマチ等)や慢性疾患に起因する中枢神経や末梢神経の障害
● ストレスや不安などの精神的・心理的影響により感じる痛み

また、これらの要因のどれか一つに限定されるというよりは、それぞれの要因が複雑に絡んで痛みが引き起こされることが多く、それにより一層原因の判明を難しくしています。

慢性疼痛への主な対処法は?

慢性疼痛の痛みをゼロにすることは、非常に困難とされています。そのため、主な対処法としては、まずは痛みの軽減を最終目標として治療を行うことが、「慢性疼痛診療ガイドライン」でも述べられています。また、痛みをコントロールしながら、患者の生活の質を向上させることも、重要な治療の目的です。慢性疼痛に行われる主な治療法としては、以下の4つの治療法が挙げられます。

薬物療法

慢性疼痛治療に使用される薬物としては、非ステロイド性抗炎症薬や抗てんかん薬・抗うつ薬などを使うのが一般的です。しかし、いずれも効果は限定的で、症状によっては効果が期待できなかったり、明確なエビデンス(証拠や検証結果)がなかったりの場合も多くあります。

脊髄刺激療法(SCS)

薬物療法の効果がなかなか出ず、神経障害性の痛みである場合に、有効な治療法とされています。この治療法では、脊髄と脊髄を包んでいる膜の間に細い電極(リード)を挿入して、微弱な電気刺激を与えることで、痛みを和らげます。痛みの感覚は、神経から脊髄を通って脳に信号が伝わることで感じますが、脊髄に微弱な電気を流すことで、痛みの信号が脳に伝わりにくくなるのです。なお、この治療法には、治療用の電極と刺激装置を体内に植え込む手術が必要となります。

IMS療法

IMS療法は、カナダの医師であるChan Gunn氏が、リハビリテーションと鍼治療を基に開発した治療法です。この治療法では、薬剤などは使用せず、東洋医学の鍼治療に用いる針を使用する、トリガーポイント治療と呼ばれる治療法の一つとなっています。とくに筋肉の異常な緊張による痛みに効果を期待できますが、すべての痛みに効果が期待できるというわけではありません。

※トリガーポイント治療:痛みの引き金となる部分の筋肉のしこりに対して、さまざまな刺激(電気周波・レーザー光線・針・マッサージ等)を加えてしこりをほぐす治療法

リハビリテーション

リハビリテーション(一般的な運動療法)は、慢性疼痛の痛みや機能障害の改善に有効と言われています。とくに慢性腰痛や変形性膝関節症・慢性頸部痛などで推奨されていますが、生活の質の向上においては、リハビリテーション単独ではなく、ほかの治療法との併用が必要であるとされています。

まとめ

難治性疼痛は、その原因にかかわらず、既存の治療では痛みを取り除くことが難しく、患者の生活の質に重大な障害をもたらします。また、場合によっては精神症状を引き起こすなど、深刻な障害につながるケースもあります。しかしわが国においては、明確な治療法はまだ確立されておらず、現在もさまざまな研究がなされているところです。

「東洋療法ケアセンター小川東洋鍼灸院」は、東京都東村山市にて鍼灸治療を行っております。当院は「難治性疼痛」と「緩和医療」に重点を置きながら、高い技術と豊富な経験を持ったスタッフが、丁寧な治療で患者様の消えない痛みを改善していきます。東京近郊で、改善しない痛みにお悩みの方は、ぜひ当院へご相談ください。

 

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